第四頁「和顔美人には風が吹く」

《瓜実顔に切れ長の目》

「わがおびじん」
と聞くと、おそらく多くの人は「日本的な顔立ちの美人さん」と、そんな造形の女性を思い起こすのではないでしょうか。

風情ある、心地の良い気持ちになる、そんな日本髪女性の写真集を作りたいなあと長年思っていて。ある日、何の気なしに呟きました。

 

これが意外と反響があり「よっしゃ、やるか」というきっかけになったのですが…(いいねして下さった皆さん、ありがとうございます)
写真集として作品を作るのですから、改めて定義付けをしようとウンウン考えておりました。

「美人」という美しさの捉え方も、時代により、国により、人により様々です。今回はそのような時代の流れで移り変わるものではなく、普遍的で人の心に響くものをと当初から考えていたので、「二重まぶたで」とか「涙袋があって」とか「鼻筋が通っていて」というような造形的な部分は考慮しないでいくことにしました。

そんな時、とある漫画家さんが漫画を良く見せるコツとして「イケメンには謎の風が吹いている」と仰っていたことを聞きました。

たしかに。

両親譲りの漫画好きで、幼きころから漫画に囲まれて育ってきた私ですが、たしかに読んできた漫画を思い起こすと、マンガ的表現として(特に少女漫画は)謎の風が吹きます。なんならお花も飛びます。

あれって、とても日本的な表現だなと思うのです。
海外の漫画にはそんなに詳しくないのですが、スペイン人の漫画家の友人の作品を見ても、どのコマも背景がしっかりと描きこまれていて、日本とは表現の仕方が違うのだなあと感じます。

 

@Pau Gamez(illustrator & comic book artist )
web site http://paugamez.com/

日本の漫画は余白を多用しますよね。それで成立するのは、私達がその余白に何かを感じ取れる感覚があるからではないでしょうか。余白はただのスペース(空間)ではなく、そこに何かしらの空気が存在しています。同じく、イケメン(美少女)の登場や、心情の変化、ここ一番の見せ場で風がふわっと吹くという表現は、私たちの心に空気の流れを感じるからこそ成立し、効果的に使用されるのではないかと思うのです。

前回お話した「風情」にも繋がる話ですが、「風格」「風貌」など人やモノを表す時に「風」という文字が付きますね。それは、「感じる」ことができる、ふわっと伝わる空気をその人が纏っていて、造形だけでは語れないものがあることを示唆しています。

「和顔美人」は、そんな「心地よい風」をたずさえている人、見ている人に安心(あんじん)をくれる人。そのように定義することにしました。

かく言う私も、パッチリ二重でなければ団子鼻だし、自分の造形にはコンプレックス満点の平たい顔族の人間です(泣)そのうえ肌にも疾患があったりするので、見てくれ的には人生で一度たりとも自信を持ったことがありません。
けれど、人間の造形は人それぞれです。美人と持て囃される人でも何かしらコンプレックスがあるでしょうし、皆なにかしら不満は付き物だと思います。

和顔美人づかんで真にお伝えしたいことは、この世に生きている人はすべからく皆美しいということです。

雑誌やSNSで流行を見ていると、どうしても「◯◯さんのようになりたい」と思ったり「どうして私はこうじゃないんだろう」って比較してしまいがちですが、そうではなくて。皆一人ひとりに良さがあって、美しい表情を持っているのです。
お仕事に勤しむひと、子育てを必死に頑張るひと、誰かを想い愛するひと。
一生懸命、毎日を生きるひと。
日々生活していくのは大変なことも多いですが、
心を落ち着かせて、自分の鼓動を感じれば、自分の風が吹いてくる。その人らしい美しさが、そこに表れると信じています。

風をまとった、風情ある「和顔美人」がこの世界に沢山いたら、きっと素敵だろうなあと思うのです。「和顔美人づかん」を観て、自分もこんな表情で日々過ごしたいと思ってもらうことが目的のひとつでもあります。

和顔美人の風を、皆さんに早くお届けしたいなあとワクワクしつつ準備を進めています。どうぞ気長に、お待ちいただけると嬉しいです。

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